日本臨床外科学会雑誌
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症例
続発性消化管アミロイドーシスによる汎発性腹膜炎の1例
梅邑 晃郷右近 祐司遠藤 義洋鈴木 雄梅邑 明子北村 道彦
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2010 年 71 巻 6 号 p. 1628-1633

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抄録

症例は76歳,男性.肝細胞癌と慢性肺気腫にて通院中であったところ,腹痛と嘔吐が出現したため受診した.腹部の膨満と左上腹部に筋性防御を認め,腹部造影CTで左側結腸の壁肥厚と浮腫,腹水を認めたため,汎発性腹膜炎と診断して緊急手術を施行した.壊死した左側結腸を切除し,口側結腸にて人工肛門造設術を行った.術後,人工呼吸器管理を要したが,第39病日に退院した.病理組織学的検査で,粘膜下層の小血管にCongo-red染色陽性を示すアミロイド蛋白の沈着を認め,免疫染色検査にてAAアミロイド蛋白と判明し,続発性アミロイドーシスと診断した.慢性関節リウマチや長期透析治療を背景に持たない消化管アミロイドーシスによる緊急手術例の報告は少なく,本症例は肝細胞癌か慢性閉塞性肺疾患がその原因になりうると考えられたが断定には至らなかった.

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© 2010 日本臨床外科学会
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