2010 年 71 巻 6 号 p. 1643-1648
症例は43歳,男性.検診時の腹部超音波検査にて右副腎腫瘍と診断され,近医より精査加療目的にて当科紹介となり手術施行.術中診断にて,後腹膜由来の腫瘍で腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的診断にて,Hormer-Wright rosettesを認め,免疫染色にてMIC2陽性にて末梢性未分化神経外胚葉性腫瘍(peripheral primitive neuroectodermal tumor以下PNETと略す)と診断.術後に化学療法施行したが,術後約2年7カ月で腫瘍死した.PNETは中枢神経系外に発生し組織学的,免疫学的,超微形態学的に神経上皮への分化を認める小円形細胞腫瘍である.その原発部位としては,四肢,胸壁発生が多く,腹部領域の発生はまれである.今回後腹膜由来と思われるPNETを経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.