日本臨床外科学会雑誌
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症例
縦隔脂肪肉腫の1切除例
高岸 智子大崎 敏弘小舘 満太郎長家 尚
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キーワード: 脂肪肉腫, 縦隔腫瘍
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2010 年 71 巻 8 号 p. 1970-1975

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抄録

縦隔に発生した巨大な脂肪肉腫を経験したので報告する.症例は61歳,男性.労作性呼吸苦を1年半前より認めていた.胸部X線写真では両側心陰影とのシルエットサイン陽性の腫瘤陰影を認め,胸部CT,MRIでは前縦隔,心嚢前面から横隔膜上に進展する脂肪成分と軟部組織成分が混在する脂肪肉腫が疑われた.手術は胸骨正中切開で行い,胸腺を含めて腫瘍を摘出,両側縦隔胸膜,心嚢,左横隔神経への浸潤が疑われたため,これらを合併切除し腫瘍の完全切除を行った.腫瘍は大きさ19×15cm,重さ750g,病理組織学的には高分化型脂肪肉腫と診断された.術後補助療法は施行せず術後4カ月になるが再発は認めていない.縦隔に発生する脂肪肉腫は稀な腫瘍であり,今回,自験例を加えた本邦報告50例を集計し考察を加え報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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