日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
乳癌術後補助療法におけるTrastuzumab心毒性の検討
鈴木 和志竹内 透小川 弘俊竹内 新治角田 伸行梛野 正人
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キーワード: 乳癌, Trastuzumab, 心毒性
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2010 年 71 巻 9 号 p. 2243-2248

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抄録

2008年2月,HER2過剰発現が確認された乳癌患者に対してTrastuzumabの術後補助療法としての投与が承認された.再発治療におけるTrastuzumabの2mg/kgの毎週投与では安全性のデータは蓄積されているが,術後補助療法では6mg/kgの3週毎投与であり認容性に関して国内のデータは少ない.今回われわれはTrastuzumabを術後補助療法として投与した26例で,その副作用のひとつである心毒性に関し検討した.1年間の投与期間中に心不全の発症はなかったが,無症候性の心毒性を2例に認めた.対象中24例に心毒性のリスクファクターであるAnthracyclineの前治療がされていた.Trastuzumab投与終了後には心機能は回復しており心毒性は可逆的であった.Anthracyclineの前治療がある症例でもTrastuzumabの術後補助療法は慎重な心機能フォローのもと安全に施行できた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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