抄録
肝未分化癌は極めて稀であり,症例報告が散見される程度である.今回われわれは発熱を契機に発見された肝未分化癌の1切除例を経験したので報告する.症例は61歳,男性.1週間程度持続する微熱にて前医を受診した.胸部CTを施行されたところ,偶然肝腫瘤を指摘された.肝膿瘍を疑われ当院紹介となり,抗生剤投与にて治療開始された.入院中は解熱を認めず,腹部造影CTおよびMRI,肝生検等の精査にて原発性肝悪性腫瘍が疑われた.肝S7亜区域切除術が施行され,病理診断にて肝未分化癌の診断となった.術直前まで認めていた発熱は術後6日目に解熱,腫瘍壊死組織からの発熱であったと考えられた.肝未分化癌には明確な定義がなく,病理診断にて同診断に至ることは極めて稀である.また,早期に血行性・リンパ行性転移を起こし予後不良とされている.本症例では治癒切除が可能であった.術後8カ月の時点では再発を見ていないが,厳重な経過観察が必要と考えられる.