日本臨床外科学会雑誌
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症例
経皮的ラジオ波焼灼療法後に穿刺経路播種をきたした肝細胞癌の2例
長尾 祐一岡本 好司山内 潤身柴尾 和徳日暮 愛一郎山口 幸二
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2010 年 71 巻 9 号 p. 2417-2423

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抄録

症例1は53歳,女性.他院にて,1996年肝細胞癌(hepatocellular carcinoma,以下HCCと略記)に対して,肝切除術施行した.2001年S5再発に対して経皮的ラジオ波焼灼療法(radiofrequency ablation,以下RFAと略記)を施行した.2006年10月AFP値の増加を認め,CT・MRI検査にて胸壁腫瘍および肝S5,S6,S7に再発腫瘍を認めたため当科紹介された.同年12月,肝S5・6・7開腹下マイクロターゼ凝固術,胸壁腫瘤摘出術施行し,中分化型肝細胞癌であり,胸壁穿刺経路播種と診断した.2007年2月胸壁播種再々発を認め,胸壁腫瘍,横隔膜・助骨合併切除術を施行した.症例2は65歳,男性.2003年前医にてS5のHCCに対してRFAを3回施行したが腫瘍のコントロールつかず,2006年2月当科紹介された.同年2月,肝右葉切除術施行した.同年11月CTにて胸壁の第9肋間にRFA穿刺部に一致して腫瘍を指摘され,同年12月開胸下に肋間腫瘍摘出術を施行した.病理組織学的検査では,中分化型肝細胞癌であった.比較的稀な経皮的RFA後の穿刺経路播種をきたした2症例を経験したので文献的考察を加え報告する.

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© 2010 日本臨床外科学会
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