日本臨床外科学会雑誌
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症例
下行結腸間膜に発生した平滑筋肉腫の1例
山下 祐司安田 貴志河村 史朗島田 悦司奥村 修一藤田 昌幸
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2010 年 71 巻 9 号 p. 2449-2452

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抄録

症例は39歳,女性.左下腹部に腫瘤を自覚し当院受診.腹部造影CT,MRI検査では下行結腸に接する9×7cmの境界明瞭で内部不均一な不整形の腫瘤を認めた.下行消化管造影検査では下行結腸中央部に壁外性圧排所見を認めた.後腹膜または下行結腸間膜原発の腫瘍と診断し手術を施行した.腫瘍は下行結腸とその腸間膜および後腹膜に強く付着していたが後腹膜下筋膜前面での剥離授動が可能であったため結腸間膜原発と考えられた.腫瘍を含め下行結腸部分切除術を施行した.病理組織学的には核異型の強い紡錘形の細胞が増生し,α-SMA(+),ビメンチン(+),CD34(-),c-kit(-),S-100(-)であり平滑筋肉腫と診断した.術後10カ月現在再発を認めていない.比較的稀な腸間膜原発平滑筋肉腫の中でも下行結腸間膜に発生したものは本症例が初であった.予後不良であるが病巣の外科的切除が基本であり,その改善に努める必要があると思われた.

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© 2010 日本臨床外科学会
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