抄録
目的:鼠径部ヘルニアにメッシュ法が一般的になってきたが,嵌頓症例,特に腸管切除症例にメッシュを用いることには議論がある.今回,鼠径部嵌頓ヘルニア手術症例を検討し,メッシュ使用の妥当性につき検討した.方法:過去12年間で緊急手術を施行した鼠径部嵌頓ヘルニア94例を対象とし,tension-free法での治療と従来法での治療を比較検討した.結果:腸管切除23症例ではtension-free法での修復が9例であり,従来法での修復は14例あった.腸管非切除71症例ではtension-free法での修復が64例であり,従来法での修復は7例あった.腸管切除症例2例に創感染を認めたが,2例とも腸管穿孔のため従来法で修復した症例であった.創感染や再発にtension-free法と従来法で有意差はなかった.結論:適切な症例の選択により,鼠径部嵌頓ヘルニアに対するメッシュ治療の安全性が示された.