日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前診断が可能であったAmyand's herniaの1例
吉田 亮介高橋 健治折田 洋二郎
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2010 年 71 巻 9 号 p. 2469-2472

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抄録

症例は34歳,男性.右鼠径部の腫脹と疼痛を主訴に当院を受診した.局所所見から右鼠径ヘルニア嵌頓と診断した.CT検査にて回盲部から連続し盲端となる管状構造物を明瞭に描出し,虫垂がヘルニア内容であるAmyand's herniaと診断可能であった.還納は困難であったが炎症反応の上昇は比較的軽度で腸閉塞を認めず,待機手術可能と判断し翌日腰椎麻酔下に手術を施行した.ヘルニア内容は術前診断通り虫垂で,同一創にて虫垂切除術を施行した後iliopubic tract repair法にて修復した.術後経過は良好で術後4日目に退院となった.鼠径ヘルニアのうちAmyand's herniaは極めて稀であるが自験例では術前診断が可能で,full stomach等の危険因子を有する緊急手術を回避することができた.本疾患では緊急手術を必要としない症例が存在し,その診断の為には本疾患の可能性を考慮し術前検査を行うことが重要である.

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© 2010 日本臨床外科学会
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