日本臨床外科学会雑誌
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症例
嚢胞形成を伴った乳腺nodular pseudoangiomatous stromal hyperplasiaの2例
日野 佑美久松 和史平林 直樹多幾山 渉坂谷 暁夫金子 真弓
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2011 年 72 巻 1 号 p. 15-18

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抄録

嚢胞形成を伴った乳腺pseudoangiomatous stromal hyperplasia(以下PASH)の2例を経験したため報告する.症例1は41歳,女性.右乳房の3cm大の弾性硬な腫瘤を自覚し当科を受診した.画像検査上明らかな悪性を示唆する所見はなく,針生検でfibrocystic changeと診断された.以降半年おきに経過観察していたが,6年後に4cm大に腫瘤の増大を認め手術を施行した.症例2は41歳,女性.左乳房の腫瘤を主訴に受診した.画像検査上明らかな悪性を示唆する所見は認めなかったが,5cm大の腫瘤であり手術適応となった.手術は両者とも腫瘤摘出術を行った.HE染色で乳腺間質内にスリット状,血管腫様の間隙を認め,その間隙内面は,一層の紡錘形細胞に覆われていた.組織像から乳腺nodular PASHと診断した.また何れも嚢胞形成を伴っており,症例1では嚢胞内腔は一層の上皮細胞で覆われており,乳管の拡張によるものと考えられた.症例2の嚢胞は間質の変性によってできたと考えられた.今回,自験例に若干の文献的考察を加えて報告する.

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