日本臨床外科学会雑誌
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症例
腫瘍随伴症候群として強皮症を合併した乳癌の1例
南野 佳英成田 吉明加藤 弘明井上 玲樫村 暢一松波 己
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2011 年 72 巻 10 号 p. 2516-2519

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抄録

乳癌の腫瘍随伴症候群として,強皮症が合併することが知られている.症例は42歳の女性,1年前からの左乳房の腫瘤を主訴に受診した.皮膚浸潤を伴う5cm大の腫瘤を触知し,肺転移を伴うStage IV乳癌の診断で化学療法(EC)を開始した.開始後6日目に急激な腎機能の悪化を認め,人工透析の適応となった.その後の精査で1年前からの両上肢の皮膚硬化も判明し,皮膚生検にて強皮症の診断を得たことから,強皮症性腎障害と診断した.乳腺腫瘍からの出血コントロール目的に腫瘍摘出術を施行したところ,直後より皮膚症状,腎機能の著明な改善を認めた.
強皮症に合併した乳癌では,腫瘍切除の先行が強皮症の症状コントロールに有用である可能性が示唆された.

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