日本臨床外科学会雑誌
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症例
前腎傍腔に発生した消化管外GISTの1例
西村 充孝西平 友彦山岡 竜也井上 英信石川 順英廣瀬 哲朗
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キーワード: GIST, 消化管外GIST
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2011 年 72 巻 11 号 p. 2941-2945

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抄録

症例は74歳,女性.胆石術後の腹部エコーで腫瘍を指摘された.CTで胃背側に腫瘍を認め,MRI T1強調像で低信号,T2強調像で高信号を呈した.手術時,網嚢腔背側の左前腎傍腔に8cm大の腫瘍が存在した.組織上,紡錘形の核を有する腫瘍細胞が束状配列し,免疫染色でCD117陽性であった.核分裂頻度は4/50HPFで中等度再発リスクの消化管外gastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した.術後2年7カ月現在無再発健存である.GISTは消化管に発生するが,消化管外の発生例も報告されており,extragastrointestinal stromal tumor(EGIST)と呼称される.EGISTの多くは大網,腸間膜など腹腔内の発生例が多く,後腹膜の発生は稀である.PubMedで検索した範囲では後腹膜発生の報告例は3例であった.後腹膜である前腎傍腔に発生した消化管外GISTの1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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