日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳房内出血でショック状態に陥った抗血小板薬服用者のシートベルト外傷の1例
西野 裕人仙田 典子松谷 泰男西村 理稲本 俊
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2011 年 72 巻 12 号 p. 3003-3006

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抄録
症例は69歳女性で既往歴に高血圧,狭心症,糖尿病があり抗血小板薬を内服中であった.三点式シートベルトを装着して乗用車を運転中に右折した車と衝突し,当院へ救急搬送された.搬送時,意識は清明で左乳房の腫脹と紫斑を認めたが心肺に異常はなかった.来院後,収縮期血圧50mmHgとなり意識レベルも低下し,Hb 9.2mg/dlであったので,直ちに補液を開始し血圧は一次回復した.超音波検査と造影CTで左乳房内に出血による血腫を認めたが,胸腔内や腹腔内に出血を認めなかった.乳房の圧迫止血を行い経過観察目的で入院した直後に収縮期血圧が再度70mmHg台に低下しHb 7.9g/dlであったため,濃厚赤血球2単位を輸血し全身状態の安定を得た.以降,保存的治療で回復し入院5日目に退院した.シートベルト外傷による乳房内出血でショック状態に至る報告は少ないが,3点式シートベルトの普及で増加が予想される.その対応にあたり急性期治療のみならず,乳房の変形,感染など晩期合併症や乳癌の合併への留意も要する.
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