抄録
症例は38歳,女性.当院初診の4年程前より,左乳頭先端のびらんと血性乳頭分泌を認めていた.3年前と8カ月前に2カ所の医療機関を受診したが,原因不明で放置されていた.次第に,乳頭部先端の隆起と分泌物の増大により日常の処置に困り,今回当院を受診した.初診時,左乳頭先端に突出する赤色の肉芽腫様腫瘤を認めた.腫瘤は柔らかくてもろく,易出血性であった.マンモグラフィと超音波では腫瘤の描出は困難であったが,造影MRIにて,乳頭およびその直下がenhanceされている像を認めた.組織生検にて,乳頭部腺腫の診断を得て,局所麻酔下に乳頭部を含めた腫瘍摘出術を施行した.乳輪の多くは温存した.切除標本の病理検査では,乳頭全体と乳頭直下に及ぶ乳頭部腺腫であった.術後3年1カ月が経過したが,局所の再発は認められていない.