日本臨床外科学会雑誌
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症例
長期生存を得た十二指腸結腸瘻形成横行結腸癌の1例
岡本 宏史板倉 裕子横田 憲一遠藤 渉笹野 公伸
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2011 年 72 巻 2 号 p. 423-429

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抄録

症例は69歳,男性.当初下痢および腹痛にて近医を受診し,高度の貧血を指摘された.上部消化管内視鏡で十二指腸下行脚に深い潰瘍を有する腫瘍が認められ,生検にて腺癌と診断された.上部消化管造影検査にて結腸との間に瘻孔が認められ,十二指腸癌の横行結腸穿通の診断で手術目的に当科紹介となった.膵頭十二指腸切除・右半結腸切除を施行したが,切除標本の所見から,原発は横行結腸と考えられた.結腸の所属リンパ節には転移はなかったが上膵頭後部リンパ節に転移を認めた.術後は再発なく8年10カ月を経過した現在も生存中である.十二指腸瘻を伴う大腸癌は進行癌ではあるが,リンパ節郭清も含めたen blockな切除を行うことで長期生存を期待できると考えられた.

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