日本臨床外科学会雑誌
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症例
リンパ球刺激試験で内分泌療法薬に陽性を示した乳癌温存手術後のbronchiolitis obliterans organizing pneumonia(BOOP)の2例
堀内 喜代美鈴木 留美川真田 明子飯原 雅季岡本 高宏
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2011 年 72 巻 3 号 p. 613-618

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抄録

乳癌温存術後に発症し,薬剤性肺炎との鑑別が難しいBOOPを2例経験したので報告する.症例1:42歳女性.(T1cN0M0 Stage I)乳癌温存手術を施行し残存乳房への放射線治療を終了後にタモキシフェンクエン酸塩(ノルバデックス)20mg/日の内服を開始.4カ月後,発熱と息苦しさが出現した.放射線照射によるBOOPと考えたがノルバデックスのDLSTが陽性であった.症例2:60歳女性.(T1cN0M0 Stage I)乳癌温存手術後に残存乳房への放射線照射とアナストロゾール(アリミデックス)1mg/日の内服を始めた.12日後に微熱と息苦しさが出現した.症例2はアリミデックスのDLSTが陽性であった.いずれの症例もプレドニゾロンが治療に有効であった.結論:BOOPを発症した補助療法中の乳癌患者には薬剤性肺炎も含まれている可能性がある.診断の一つとしてDLSTが有用と考える.

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