2011 年 72 巻 3 号 p. 624-626
症例は75歳,男性.約6カ月前から発熱を繰り返し改善認めないため,当院に紹介となった.心エコーにて大動脈弁に疣贅,僧帽弁前尖に肥厚を認め,血液培養にてEnterococcus faeciumが検出された.感染性心内膜炎の診断で化学療法施行し,炎症反応陰転化した後に手術を施行した.術前の経食道心超音波にてAortomitral continuityから僧帽弁前尖左室側に,膿瘍形成を疑わせるmass echoを認めた.手術は上行大動脈を切開し,大動脈弁を切除した.Aortomitral continuityから僧帽弁前尖左室側に膿瘍が自潰したと思われる10mm径の潰瘍形成を認めた.経大動脈的に自己心膜パッチにて潰瘍を閉鎖し,CE 21mmにて大動脈弁置換術を施行した.術後の経食道超音波にて僧帽弁左室側の潰瘍部分が良好に修復され,僧帽弁の動きに制限はなく術前同様の軽度の逆流を認めるのみであった.