抄録
症例は30歳,女性.Down症にて知的障害者施設に入所中であった.血便と下痢,腹痛のため施設医の診察を受け,腸炎の診断で整腸剤を処方された.しかし,症状が改善しないために近医を受診し,注腸造影検査でS状結腸癌と診断され,治療目的に当センターへ紹介となった.精査後にD3郭清を伴うS状結腸切除術を施行した.術後に麻痺性イレウスとなったが保存的に軽快し,第25病日に退院となった.術後30カ月を経過した現在,再発を認めず外来通院中である.Down症患者には白血病の発生が多いとされるが,それ以外の悪性腫瘍の報告は少ない.今回,われわれはDown症患者に発症したS状結腸癌を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.