抄録
症例は59歳,男性.2年前に直腸癌(Ra)で低位前方切除,膀胱部分切除術を施行した.病理組織学的にはtub2,pSI(膀胱),ly1,v1,pN0,P0,H0,M0,pStageIIであった.退院後UFTを内服し経過観察としていたが,術後2年目のCTで膵尾部に腫瘤を認め精査となった.腫瘍は5cm大で造影効果を認めなかった.腫瘍により脾静脈は閉塞しており,周囲への浸潤を認め,典型的な膵癌の像を呈していた.HbA1c 12.4%と耐糖能の悪化を認め,CEAは6.5ng/mlと上昇していた.膵尾部癌cT4(PV(+)),cN0,cM0,cStage IVaの術前診断で膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的には,免疫染色でCK7(-),CK20(+),cdx2(+)であり直腸癌膵転移と診断された.術後は化学療法を導入し,外来経過観察中である.大腸癌の膵転移例は少なく,その中でも外科的切除が可能であったのは稀であり,本邦での報告例は自験例を含めて34例であった.