日本臨床外科学会雑誌
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症例
PET-CT検査が術前診断に有用であった退形成膵癌の1例
間山 泰晃砂川 宏樹矢田 圭吾卸川 智文大城 直人末松 直美
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2011 年 72 巻 3 号 p. 774-777

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抄録

症例は68歳,男性.腹痛を主訴に近医受診.腹部超音波検査で膵体尾部に多房性嚢胞性腫瘤を認め,当院紹介となった.腹部造影CT検査では,膵体尾部に厚い被膜を持つ7cm大の多房性嚢胞性腫瘤を認めた.隔壁には不整な肥厚像を認めた.膵管造影では,膵尾部で膵管の途絶を認めたが,ガイドワイヤーが嚢胞内腔に進入する像を認めた.PET-CT検査では壁の肥厚部分に一致した異常集積像を認めた.以上より粘液産生嚢胞性腫瘍・特殊型膵癌の術前診断で,膵体尾部切除を施行した.術後標本では腫瘍の出血,壊死性変化が著明で多房性となり,嚢胞壁内に腫瘍が僅かに残存している状態であった.組織学的検査では破骨細胞類似の巨細胞を認め,退形成性膵管癌破骨細胞型と診断した.破骨細胞型巨細胞癌の本邦報告例は25例と比較的まれな腫瘍であり,本邦報告例の集計と文献的考察を加えて報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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