日本臨床外科学会雑誌
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症例
ヘパリン起因性血小板減少症を発症した上腸間膜静脈血栓症の1例
古川 健太森口 聡野中 亮児野呂 浩史吉川 浩之中場 寛行北山 聡明有馬 良一
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2011 年 72 巻 3 号 p. 796-800

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抄録

症例は44歳,男性.腹痛にて発症し,急性腹症として救急搬送された.腹部造影CTにて上腸間膜静脈血栓症と小腸の著明な浮腫状変化を認め,限局性腹膜炎の診断に緊急開腹術を行い,約30cmの壊死部分を含む小腸部分切除術を行った.術翌日から,ヘパリンによる抗凝固療法を施行したところ,DIC徴候等認めないにも関わらず術後11日より血小板数4.4万/μlと突然の血小板減少を認め,ヘパリン起因性血小板減少症と診断した.直ちにヘパリン投与を中止し,アルガトロバン投与を開始した.同時に抗ヘパリン-PF4複合体抗体も検出された.血小板数回復後,ワルファリンによる抗凝固療法へと移行し術後30日に軽快退院となった.

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© 2011 日本臨床外科学会
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