日本臨床外科学会雑誌
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症例
PTGBD瘻孔に微小転移を認めた早期胆嚢癌の1例
春日井 尚和田 陽子竹原 雄介出口 義雄田中 淳一工藤 進英塩川 章
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キーワード: PTGBD, 瘻孔転移, 早期胆嚢癌
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2011 年 72 巻 4 号 p. 1003-1007

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抄録

症例は65歳,女性.右季肋部痛を主訴に当院救急外来受診,急性胆嚢炎の診断で入院となった.保存的治療で改善しないため,経皮経肝的胆嚢ドレナージ(以下,PTGBD)を施行し,4日後に腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出胆嚢の病理組織診断で底体部を中心とした平坦型の高分化型管状腺癌を認めた.切除断端陰性の粘膜癌であったが,PTGBD瘻孔内への転移やカテーテルが貫通した肝床部での癌遺残の可能性を否定できないため,初回手術の40日後に開腹下に肝床切除+PTGBD瘻孔切除術を施行した.肉眼的には明らかな癌の遺残は認めなかったが,病理診断の結果腹壁筋層内に径1mm大の微小転移巣を認めた.術後6年経過した現在も無再発で経過観察中である.術前癌を疑えない潜在胆嚢癌にPTGBDを施行した場合,早期癌で短期間の留置であっても瘻孔転移を生じる可能性があり,速やかにPTGBD瘻孔も含めた追加切除を施行すべきと考えられた.

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