2011 年 72 巻 4 号 p. 1008-1014
膵神経内分泌腫瘍(pancreatic neuroendocrine tumor;PNET)は稀な疾患と考えられてきたが近年増加傾向にある.PNETは典型例では多血性で内部均一な充実性腫瘍であるが,非典型的な画像所見を呈した非機能性PNETの1切除例を経験した.症例は40歳,男性.検診の腹部超音波検査で30mm大の膵腫瘍を指摘された.腫瘍は乏血性で嚢胞成分や石灰化を伴い,FDG-PETにて集積を認め,solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)もしくは非機能性PNETの診断で,脾温存膵体尾部切除術を施行した.病理組織学的に非機能性PNETの診断で,腫瘍が乏血性を呈した原因は不明であったが,嚢胞に関しては腫瘍内の出血によるものと考えられた.