日本臨床外科学会雑誌
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症例
リンパ節転移との鑑別を要す亜急性壊死性リンパ節炎を併発した乳腺glycogen-rich clear cell carcinomaの1例
佐藤 文彦岡崎 稔岡崎 亮渡部 芳樹成松 英明
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2011 年 72 巻 4 号 p. 857-862

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抄録

症例は50歳,女性.平成21年9月3日の検診マンモグラフィ(MMG)で,右乳房に5mm大の異常陰影を指摘され,前医を受診.再検MMGでは異常を認めず,超音波検査(US)で対側の左乳房C領域に1.4cm大の腫瘍が検出され,穿刺吸引細胞診(FNAC)で悪性の疑いとされた.精査・加療を目的として当院を受診した.
当院受診時のFNACにて乳癌の確定診断を得たが,腋窩および鎖骨上に腫大したリンパ節を触知した.高度のリンパ節転移が疑われたがUS上の腫瘍径とリンパ節所見との間にやや乖離が感じられた.このため,腋窩リンパ節のFNACを行ったが転移確定には至らなかった.入院後,左乳房温存手術(lt-Bp+Ax)を施行した.病理組織診断でglycogen-rich clear cell carcinoma(GRCCC)との結果で,リンパ節はsubacute necrotizing lymphadenitisであり転移はなかった.

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