日本臨床外科学会雑誌
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症例
診断に難渋した乳腺結核の1例
溝口 資夫喜島 祐子平田 宗嗣柳 正和吉中 平次夏越 祥次
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キーワード: 乳腺結核, 乳癌, 抗結核治療
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2011 年 72 巻 4 号 p. 851-856

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抄録
症例は83歳,女性.2008年12月に左乳房腫瘤を自覚.近医での針生検で肉芽腫所見を認め,抗結核剤による治療目的で呼吸器内科へ紹介された.呼吸器内科医は,抗結核剤使用のために抗酸菌(結核菌)の同定が必要と判断し,喀痰,針生検組織,浸出液などについて種々の細菌学的検査を追加したが,いずれの検体からも陽性所見は得られず,腫瘤切除や組織生検を目的に当科へ紹介された.視触診で左乳房全体を占拠する6cm大の腫瘤が大胸筋や前鋸筋に固定して可動性不良.超音波検査で,不整形な低エコーの腫瘤が境界不明瞭に乳腺から大胸筋に広がっていた.結核性の場合での創傷治癒遅延を懸念し,切除やOpen Biopsyを避けて正常部分を介した針生検を行ったが,塗抹やPCRでも抗酸菌は証明されなかった.その過程で,喀痰の抗酸菌2カ月培養検査陽性との報告が届いた.INH/RFP/EBによる治療が開始され,9カ月後には腫瘤が著明に縮小し,可動性も良好となった.
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© 2011 日本臨床外科学会
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