抄録
症例は50代,男性.糖尿病加療中であったが,体重減少を主訴に近医受診精査の結果,胃癌と診断され当院に紹介された.上部消化管内視鏡検査で食道浸潤を認めるType3胃癌を認め,CTにて大動脈周囲リンパ節の累々とした腫脹を認め転移が疑われた.胃全摘,食道および横隔膜部分切除,脾摘,胆摘,D3郭清を施行し,術後病理診断にて総摘出リンパ節個数91個のうち22個に転移を認め,うち大動脈周囲リンパ節36個中11個に転移を認めた.術後7年経過した現在,自覚症状を特に認めずCTと内視鏡で再発所見を認めていない.実質的には十分な術後補助化学療法も施行せず,11個もの多発大動脈周囲リンパ節転移を呈しながら,大動脈周囲リンパ節郭清を伴う根治術により7年生存した例は稀であり若干の文献的考察を加えて報告する.