日本臨床外科学会雑誌
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症例
Mirizzi症候群が疑われた経皮的肝生検後の2次性胆嚢内血腫の1例
大石 賢玄辻 勝成尾崎 岳北出 浩章高田 秀穂權 雅憲
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2011 年 72 巻 4 号 p. 983-989

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抄録

症例は64歳,男性.アルコール性肝障害の診断目的に経皮的肝針生検を受けた7日後に右上腹痛をきたした.発症当日のCTでは腫大した胆嚢と胆嚢内の直径3cmの高吸収腫瘤影を認めた.肝生検後10日目のMRIでは腫大した胆嚢,胆嚢内の不均一な腫瘤影と胆嚢に圧排された総胆管の狭窄所見を認めた.急性胆嚢炎およびMirizzi症候群との診断で胆嚢摘出術を施行した.胆嚢内に充満する凝血塊を認めたものの胆嚢頸部や胆嚢管に炎症所見や結石は認めず,胆嚢内血腫と診断した.
胆嚢内血腫は肝生検などを契機として発生する緩徐な胆道出血が原因で形成されるとされているものの詳細な形成機序はいまだ不明である.本症例では胆嚢内血腫の形成過程を詳細に観察することができ,胆嚢内血腫の報告例としては初になるMirizzi症候群を疑う所見を得た.これらは肝生検後の胆嚢内血腫の形成機序や治療計画を考慮するうえで示唆に富む症例であり文献的考察を加えて報告する.

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