2011 年 72 巻 5 号 p. 1266-1271
症例は49歳,男性.1カ月前から心窩部痛,半月前から尿の黄染に気づき来院した.腹部CT検査で膵頭部に不均一な造影効果を持つ腫瘤を認め,腫瘤の頭側に嚢胞性病変を認めた.MRCP検査では,総胆管と主膵管が嚢胞と腫瘍により圧排され拡張していた.血管造影検査では明らかな血管侵襲を認めず,膵頭部の腫瘤は不均一な造影効果を認めた.膵頭部癌と術前診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.術後,病理組織検査で4.3cm×4.2cm大の高分化型非機能性膵内分泌癌と診断された.主膵管は腫瘍によって破壊され,腫瘍の頭側に貯留嚢胞を認めた.総胆管は腫瘍により圧排され十二指腸乳頭近くで閉塞していた.術後経過は良好で退院した.