日本臨床外科学会雑誌
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症例
意識障害を契機に発見されたPTHrP産生肺癌の1例
齋藤 学境澤 隆夫有村 隆明西村 秀紀保坂 典子
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1422-1426

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抄録

意識障害を契機に発見されたPTHrP産生肺癌の1例を経験したので報告する.
症例は76歳,男性.2007年4月下旬頃より,呼びかけに対する応答が鈍くなったと意識障害を主訴に,同年6月に通院中の近医を受診した.心臓,脳の精査を施行したが,これらに異常は認められなかった.高カルシウム血症と胸部X線検査にて異常を指摘され,当院に紹介となった.諸検査にてPTHrP産生肺癌による高カルシウム血症と診断し,同年8月左下葉切除術および縦隔リンパ節郭清(Node Dissectoin 2a-1:以下ND2a-1)を施行した.術直後に一過性の低カルシウム血症を認めたが,意識レベルや腎機能障害も改善し,術後10日目に退院となった.術後1カ月後の血清カルシウム値,PTHrPは正常化し,intactPTHは改善傾向であった.現在術後3年5カ月経過しているが,再発なく経過している.

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