日本臨床外科学会雑誌
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症例
肝膿瘍を合併した上行結腸癌の1例
川村 紘三片桐 義文飯田 豊栃井 航也小久保 健太郎
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2011 年 72 巻 6 号 p. 1493-1498

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抄録

症例は78歳,女性.食欲不振を主訴に受診した.38.1℃の発熱,CRP 20.11mg/dL,WBC 10,700/μLと反応の上昇を認めた.腹部造影CTにて肝S5~8に周囲に造影効果を伴う76×46×45mm大の多房性嚢胞性腫瘤を認め,肝膿瘍と診断した.抗生剤投与および経皮経肝膿瘍ドレナージ術を施行し,炎症反応の低下を認めCTにて肝膿瘍の縮小を確認した.肝膿瘍の原因検索のためMRCP,ERCP,GIF,CFを施行した.CFにて上行結腸に1/3周性の2型腫瘍を認め生検でGroup5と診断された.画像上は転移を疑う所見は認めなかった.全身麻酔下に,上行結腸癌に対して結腸右半切除+リンパ節郭清術(D3)を施行し,病理診断はtub2,ss,ly0,v0,N0,StageIIで上行結腸癌周囲に微小膿瘍形成を認めた.肝膿瘍を合併した上行結腸癌において腫瘍周囲に微小膿瘍の形成を認めた1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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