2011 年 72 巻 7 号 p. 1659-1666
目的:高齢者の消化器癌手術をより安全に行うために,周術期のリスク評価について検討した.
方法:対象は過去6年間に太田西ノ内病院外科で消化器癌手術を施行した80歳以上の高齢者327例で,死亡率および合併症発生率について検討した.
結果:術後30日以内の死亡は20例(6%)に認められ,また合併症は151例(46%)に認められた.これらの発生頻度は,性別,各種血液検査値,緊急手術症例,術中出血量,術中輸血症例で有意差を認め,またPhysiological and Operative Severity Score for the enUmeration of Mortality and morbidity(以下POSSUM)スコアが転帰と相関していた.
結語:POSSUMは予後予測に有用であり,これを用いて術前にhigh risk groupを設定することは,術後成績の改善に寄与する可能性があると考える.