2011 年 72 巻 7 号 p. 1700-1703
症例は29歳,女性.左乳腺腫瘤を主訴に当科を受診した.左乳房D領域に2cm大で弾性硬,可動性良好の腫瘤を触知.乳腺超音波検査にて内部に微細石灰化集族を含む低エコー域をみとめた.マンモグラフィでは,左Lに多形性石灰化の集族および背景濃度の上昇を認めカテゴリ4と診断した.穿刺吸引細胞診で確定診断に至らず,左乳腺腫瘤摘出術を施行.病理結果にて海綿状血管腫と診断された.現在術後2年6カ月経過したが,再発の徴候はない.本邦報告で検索しえた限りでは,病変内に石灰化を有する乳腺血管腫は自験例を含めて3例で,うち20代の若年発症は自験例のみであり,極めてまれな症例と考えられた.