日本臨床外科学会雑誌
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症例
壁外性発育を示し診断に苦慮した巨大嚢胞化胃GISTの1例
杉原 正大西崎 正彦松川 啓義松浦 博夫塩崎 滋弘大野 聡二宮 基樹
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キーワード: 胃GIST, 巨大嚢胞
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2011 年 72 巻 7 号 p. 1739-1743

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抄録

CT,MRIでは,肝,胆嚢,大腸,十二指腸,膵頭部を圧排する18×10cmの巨大多房性嚢胞性腫瘍を認めた.腫瘍内部は不均一に造影され,胃壁に接して充実性の部分を認めた.上腹部内視鏡検査では粘膜面に異常なく,血管造影検査では胃大網動脈が腫瘍への栄養血管と考えられた.以上より,胃,大網由来のgastrointestinal storomal tumor(以下GIST)や,悪性線維性組織球症(malignant fibrous histiocytoma:以下MFH)などの腹部軟部腫瘍などを鑑別に挙げるも診断に至らず,手術を施行した.腫瘍は胃壁より発生しており胃部分切除を施行した.腫瘍は22×13×10cm,965gと巨大であった.病理検査では紡錘形細胞や卵円形細胞の交錯する増殖を認め,免疫染色ではc-kit陽性,CD34陽性であり胃GISTと診断した.巨大嚢胞化胃GISTの報告は散見されるが径20cm以上と巨大化することはまれであり,文献的考察を加え報告する.

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© 2011 日本臨床外科学会
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