日本臨床外科学会雑誌
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症例
下行結腸癌に起因した肝膿瘍の1例
後藤 晃紀長嶺 弘太郎亀田 久仁郎鈴木 紳祐杉浦 浩朗久保 章竹川 義則
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キーワード: 肝膿瘍, 大腸癌
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2011 年 72 巻 7 号 p. 1816-1820

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抄録

下行結腸癌に起因した肝膿瘍の1例を経験したので報告する.症例は61歳女性で2週間続く38度台の発熱を主訴に近医を受診した.腹部超音波検査で肝右葉に径4cm大の腫瘤を認めたため当院を紹介受診し,精査で肝膿瘍と診断され当院緊急入院となり,抗生剤投与で炎症反応は軽快したが,第14病日に施行した腹部造影CT検査で下行結腸に全周性の壁肥厚と口側腸管の拡張を認め,大腸内視鏡検査で下行結腸に全周性の2型腫瘍による狭窄を認めた.生検で腺癌と診断され,経肛門イレウス管で減圧し待機手術予定であったが,挿入2日後に大腸癌イレウスからショック状態となり,緊急でHartmann手術を施行した.病理組織学所見よりtub1,pSE,pN1,fStageIIIaと診断した.術後4年現在まで,肝膿瘍や癌の再発はない.まれではあるが肝膿瘍が大腸癌に起因することがあり,肝膿瘍の原因検索時には下部消化管精査も行う必要があると考えられた.

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