日本臨床外科学会雑誌
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症例
経横隔膜性肋間ヘルニアの1例
林 雅規折田 雅彦弘中 秀治守田 信義濱野 公一
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2013 年 74 巻 3 号 p. 663-667

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抄録

症例は85歳,女性.平成21年12月,交通外傷で右肋骨等の多発骨折を負い,他院で6カ月の保存的治療を受けた.平成23年5月,便秘と腹痛を主訴に近医より当院に紹介された.腹部CT検査では小腸が右横隔膜の欠損部を経由して胸腔内へ,さらに第9肋間から胸郭外へ脱出しており,外傷性の経横隔膜性肋間ヘルニア(transdiaphragmatic intercostal hernia;TIH)と診断した.手術はヘルニア嚢直上から経胸腔アプローチで行った.胸壁に癒着していた小腸と大網を腹腔内に還納し,横隔膜欠損孔は非吸収糸を用いて縫合閉鎖した.肋間ヘルニアは胸膜を閉鎖し,上下の肋骨を縫縮して手術を終了した.現在,無再発経過観察中である.TIHは稀な病態であり国内外で18例の報告しかない.今回われわれが選択したアプローチは横隔膜欠損孔を創の直下に収め,肋間と横隔膜の欠損孔を簡便に修復できる優れた方法であった.

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© 2013 日本臨床外科学会
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