2011 年 72 巻 8 号 p. 2025-2030
40歳,女性.平成19年4月頃から腹痛出現.貧血のみの指摘で,他に検査異常は認めなかったが,症状維持するため,精査目的で紹介となった.初診時Hb 7.9g/dl,腫瘍マーカーは基準値内であった.内視鏡検査で十二指腸水平部に全周性腫瘍を認め,生検結果はGroup Vであった.腹部CTで7cm×9cmの巨大腫瘍を認め,膵・左腎・上腸間膜動脈(SMA),大動脈壁に接していた.膨張性に発育していると考え,開腹手術を行った.十二指腸水平部に径7.2×5.7cmの巨大な腫瘍を認めた.周囲臓器へ接していたが剥離可能であり,膵鉤部合併切除にて,腫瘍を完全切除することができた.術後頻回の下痢を認めたが経過良好で第31病日に軽快退院となった.術後補助化学療法を施行.術後12カ月にリンパ節転移再発を認めた.十二指腸癌は稀で,切除しえても高率に再発を認める.生存期間の延長に期待できることから切除の可能性を検討すべきである.