2011 年 72 巻 9 号 p. 2270-2274
症例は54歳,男性.腹部大動脈周囲リンパ節転移を伴う進行胃癌を認めた.術前化学療法としてTS-1:120mg/body/dayを2週間内服した後,TS-1+CDDP療法(TS-1:120mg/body/dayを3週間内服2週間休薬,day 8にCDDP 80mg/m2)を2クール施行後,腹部CTにて腹部大動脈周囲リンパ節の腫大は消失したため,胃全摘術+D2郭清術(No.16サンプリング)施行した.術後病理検査ではリンパ節に癌細胞は認めなかった.術後TS-1の内服を8カ月行った.現在,術後5年が経過したが無再発生存中である.腹部大動脈周囲リンパ節転移陽性進行胃癌に対して,術前化学療法が奏効した長期無再発生存中の1例を経験したので報告する.