2011 年 72 巻 9 号 p. 2285-2289
症例は72歳,男性.69歳時,腹壁瘢痕ヘルニアに対し腹腔内留置型のコンポジットメッシュを用いたヘルニア修復術が施行されている.その2年8カ月後に腹痛と手術創からの膿排出を主訴に来院した.手術創部に瘻孔形成を認め,瘻孔造影検査にて小腸が描出されたため小腸皮膚瘻と診断し手術を施行した.癒着した小腸と瘻孔部,メッシュを含めた腹壁を一塊に切除後,1-VICRYL糸にて筋膜を皮下組織とともに単純縫縮し,腹壁2層縫合法にて再度ヘルニア修復術を施行した.術後経過は良好で術後9病日目に退院した.術後,ヘルニアの再発や感染は認めていない.
腹壁瘢痕ヘルニアに用いた腹壁内留置型メッシュが小腸皮膚瘻を形成した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.