2011 年 72 巻 9 号 p. 2360-2364
症例は66歳,女性.灰白色便,心窩部痛を主訴に近医を受診.中部胆管腫瘍による閉塞性黄疸の診断でERBDを留置され,手術目的に当院紹介入院.血液検査所見では肝胆道系酵素の上昇を認め,腫瘍マーカーはCA19-9とDUPAN-2が異常高値であった.腹部造影CTでは中部胆管に造影効果を伴う壁肥厚像を呈し,術前診断は中部胆管癌で,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行.病理組織学的検索にて腫瘍はchromogranin A陽性,synaptophysin陽性であり,胆管原発内分泌細胞癌と診断した.術後は補助化学療法は施行せず,9カ月無再発生存中である.胆管原発内分泌細胞癌は非常にまれな腫瘍であり,また予後不良な腫瘍とされている.本邦の報告例および,近年報告されている治療法を含め,文献的考察を加え報告する.