日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵頭十二指腸切除術後完全外膵瘻に対して非観血的内瘻化術を施行した1例
吉敷 智和柳田 修正木 忠彦森 俊幸杉山 政則
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2384-2388

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抄録
膵頭十二指腸切除術後の膵瘻は治療に難渋する合併症である.今回,われわれは非観血的内瘻化術が有効であった完全外膵瘻の1例を経験したので報告する.症例は73歳男性で十二指腸乳頭部腺腫に対し膵頭十二指腸切除術を施行した.経過良好で術後17日に退院し,完全外瘻化の膵管チューブは外来での抜去を予定した.その後,膵管チューブの屈曲のため排液が停止したが放置されていた.術後30日目に,膵空腸吻合部縫合不全・膿瘍形成がみられ,経皮的ドレナージを施行した.膿瘍腔と空腸の交通はなくドレナージ後も純粋膵液排出が持続し完全外瘻と診断した.ドレナージ後115日目に瘻孔から挿入した内視鏡で膵実質空腸漿膜筋層縫合糸を確認することで安全に吻合部近傍の空腸を穿刺し,内瘻化チューブを留置した.留置後8日目にチューブをクランプし,78日目に抜去した.内瘻化術後4年後の現在,主膵管の軽度拡張のみで膵炎症状や,耐糖能異常はなく良好に経過している.
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© 2011 日本臨床外科学会
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