2011 年 72 巻 9 号 p. 2405-2409
症例は66歳,男性.2010年3月頃より左陰嚢腫大を自覚していた.次第に大きくなり,排尿困難となったため5月近医を受診.鼠径ヘルニア疑いで当科を紹介された.無痛性の左陰嚢腫大を認め,徒手還納を試みるも不可能であった.陰嚢腫瘍を疑い精査を行った.腹部CT検査,腹部造影MRI検査にて,陰嚢内に限局し後腹膜と連続しない脂肪を主体とした巨大な腫瘍が認められた.急速に増大した臨床経過から左陰嚢脂肪肉腫を疑い,左陰嚢腫瘍摘出・高位精巣除去術を施行した.腫瘍の大きさは約30×17×12cmで,重さは1,300gであった.術後病理組織検査にて高分化型脂肪肉腫と診断された.術後10カ月が経過した現在,再発の徴候は認められない.