日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後3年無再発の後腹膜脂肪肉腫(6.9kg)の1例
吉松 軍平新谷 史明阿部 道夫川口 信哉篠田 雅央海野 倫明
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2431-2436

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抄録

症例は79歳,男性.平成19年9月から下肢の浮腫が出現したため近医を受診.腹部の巨大な腫瘤を指摘され,当科に紹介となった.腹部は著明に膨満し,腹部全体に広がる固い腫瘤を触知した.腹部超音波検査では境界明瞭なmosaic patternを呈する径20cm大の腫瘍として,腹部CT検査では上/下腸間膜動脈をそれぞれ右/左に強く圧排する低吸収域の巨大腫瘍として認められた.巨大後腹膜腫瘍の術前診断にて手術を施行.腫瘍の他臓器への浸潤は無く,遺残なく全摘出できた.摘出標本の大きさは27×27cm,重量は6,900gであった.病理組織診は,高分化型脂肪肉腫のsclerosing typeであった.術後経過は良好で,第10病日に退院した.術後化学療法は行わず,現在術後3年が経過したが,今のところ再発の兆候を認めていない.

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