2011 年 72 巻 9 号 p. 2437-2441
症例は78歳,女性.早期胃癌に対する治療目的のため,当院へ紹介され,腹腔鏡補助下胃切除術(以下LADG)を施行した.術後第4病日に嘔気,嘔吐,左下腹部痛が出現したことから施行した腹部CT検査により左側腹部の12mmポートサイトでのヘルニアによるイレウスと診断し,同日,再手術を施行した.ポートサイトの皮膚切開を30mmまで延長し皮下を分け入ると,直下に脱出した小腸を認めたため,これを腹腔内に還納し,腹膜,筋膜をそれぞれ寄せ合わせ,閉創した.その後は経過良好でイレウスの再発を認めていない.
ポートサイトヘルニアでは早期には腹部体表の隆起が認められず,イレウスの原因を特定することの困難なことが多い.このような場合でも腹部CT検査は早期にポートサイトヘルニアと診断でき,有用である.