日本臨床外科学会雑誌
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症例
ステント留置およびコイル塞栓術を行った孤立性解離性上腸間膜動脈瘤の1例
繁光 薫森田 一郎木下 真一郎深澤 拓也山辻 知樹猶本 良夫
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2011 年 72 巻 9 号 p. 2460-2465

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抄録

経過観察中に増大傾向を呈し待機的にステント留置およびコイル塞栓術を行った孤立性解離性上腸間膜動脈瘤の1例を経験したので報告する.症例は53歳,男性.左腰痛および腹痛を訴え泌尿器科を受診しCTにて後腹膜・腸間膜・網嚢内血腫を疑われ外科紹介となった.SMA起始部に解離性動脈瘤を認めたが,出血源としては否定的であった.バイタルサインも安定していたため,入院にて保存的に経過観察を行った.CT再検にて血腫の縮小,解離腔内の血栓化傾向を認め,退院後外来にてフォローアップを行った.約6カ月後,瘤は嚢状瘤化し増大傾向を呈し,これによる上腸間膜動脈本幹の狭窄を認めた.われわれは狭窄部にステントを留置し,ストラッツ間より小カテーテルを挿入し瘤内にコイルを留置し塞栓術を施行した.術後経過良好で7日目に軽快退院した.本幹の狭窄所見を呈する解離性上腸間膜動脈瘤に対し,ステント留置およびコイル塞栓術は低侵襲で有用であると考える.

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