2012 年 73 巻 1 号 p. 160-165
症例1は26歳,女性.家族性大腸腺腫症(FAP)で大腸全摘術後11カ月目に腹壁に約5cm大,J型回腸嚢の腸間膜に約3cm大のデスモイド(DT)を認めた.外科治療では永久人工肛門となるため,内分泌化学療法を施行した.数種のレジメンを施行したが増悪認め,Methotrexate(MTX)+Vinblastine(VBL)に変更して約1年継続し,DTは著明に縮小した.現在は内分泌療法のみ継続しているがDTはほぼ消失している.症例2は25歳,女性.FAPで大腸全摘術後13カ月目に右側腹直筋に約5cm大,左側腹直筋に2cm大および回腸腸間膜に約4cm大のDTを認めた.内分泌療法を施行したが急速に増悪.MTX+VBLに変更して約1年継続し,partial responseの状況である.外科治療では術後QOLの低下が予想される腸間膜DTに対してMTX+VBL療法は有用であることが示唆された.