口腔衛生学会雑誌
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原著
フッ化物配合歯磨剤の適正使用量に影響を及ぼす因子
伊井 久貴南 ひかる犬山 依志行福田 雅臣
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2021 年 71 巻 2 号 p. 81-87

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抄録

 本研究では,フッ化物配合歯磨剤の適正使用量を示すため,歯磨剤チューブの形状,そしてその内容物の性状に関わる諸要因について検討を行った.

 歯科医院専用フッ化物配合歯磨剤31種類について,チューブ内径,1 cm あたりの重量(基準重量)を測定した.使用重量は,それぞれ6名で測定した平均値を1 cm あたりの使用重量とし,さらに変動係数,使用誤差(%)を求めた.使用重量のばらつきについては,一元配置分散分析,Bonferroniの多重比較検定を行い,各歯磨剤の逐次比較の結果を有意差数とした.さらに各歯磨剤の内径,基準重量,使用重量,比重,粘稠度,変動係数,使用誤差(%),有意差数について単相関分析,重回帰分析を行い,関連性を検討した.

 その結果,単相関分析では基準重量と使用重量,内径と比重,使用重量と比重,使用重量と粘稠度,粘稠度と変動係数,基準重量と使用誤差(%),使用重量と使用誤差(%),粘稠度と使用誤差(%),変動係数と使用誤差(%),基準重量と比重,基準重量と粘稠度,基準重量と有意差数で有意な相関(p<0.05)がみられた.重回帰分析では,目的変数を使用誤差(%)としたものでは,内径,比重,変動係数において有意な関連(p<0.05)がみられ,さらに目的変数を有意差数とすると,粘稠度と変動係数で有意な関連(p<0.05)がみられた.

 以上の結果から,適正量の歯磨剤を使用するためには,1 cm あたりの基準重量を明記することが必要であると考えられた.

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© 2021 一般社団法人 口腔衛生学会
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