2012 年 73 巻 1 号 p. 182-186
症例は56歳,女性.子宮頸部腺癌IIIb期,傍大動脈リンパ節転移の診断で当院の婦人科外来で,放射線化学療法を施行されていた.2011年7月下旬に,突然の腹痛と発熱を主訴に婦人科を受診した.体温は38.4℃で,腹部全体に圧痛と反跳痛を認めた.血液検査では炎症所見と貧血を認めた.腹部骨盤CT検査で腹腔内遊離ガスを認めたため,消化管穿孔による汎発性腹膜炎と診断し,外科にて緊急開腹手術を施行した.開腹所見で子宮留膿症穿孔と診断した.切除不能の子宮頸部腺癌であることを考慮して,穿孔部を縫合閉鎖し,大網で被覆した.またDouglas窩および子宮内にドレーンを留置した.術後経過は良好であった.高齢でない女性の子宮留膿腫穿孔は珍しいが,子宮悪性腫瘍の治療中に起こりうることに留意すべきである.