抄録
症例は65歳,女性.39歳時右乳癌のため右胸筋合併乳房切除術を施行し,45歳時には左乳癌のため左胸筋合併乳房切除を施行した.2008年3月,帯状疱疹にて近医通院中,徐々に下腿浮腫が進行してきたため,当院内科を紹介され受診した.心エコーで心嚢液貯留が認められ循環器科に紹介,心タンポナーデ,うっ血性心不全と診断され緊急入院となった.入院後,脈圧の減少がみられ,外科的心嚢ドレナージ術を施行された.排液の細胞診で腺癌と診断され,細胞像から乳癌の心嚢転移と考えられた.症状が著明に改善したため1週間でドレーンは抜去され,その後乳腺外科に紹介となった.前回の手術標本でホルモン感受性が陽性だったことより,レトロゾールによる内分泌治療を開始した.ドレナージ術後約3年経過しているが,心嚢液の再貯留はもとより多部位への再発も認めず元気に外来通院中である.