2012 年 73 巻 10 号 p. 2479-2483
はじめに:当院で臨床研究としてFEC75+trastuzumab療法で術前補助化学療法を行った14例の患者に施行し,効果と安全性について検討した.
対象:比較的若年で心機能を含めた全身状態が良好であるHER2陽性乳癌患者14例を本臨床試験に登録し,術前化学療法として5-fluorouracil/epirubicin/cyclophosphamide(FEC)75+trastuzumab投与を倫理委員会の了承を得て行い,FEC100単独ないし75単独投与後にtaxan+trastuzumab療法を行ったHER2陽性乳癌症例と比較した.
結果および考察:心毒性を含め,FEC75+trastuzumab投与による特異的な副作用は認めなかった.FEC75+trastuzumab投与群は特にHER2 enriched typeについてはpathological complete response(pCR)率77.8%の効果が得られ,安全かつ有効な治療であることが示唆された.