2012 年 73 巻 10 号 p. 2515-2518
症例は77歳,女性.食後の嘔吐を主訴に前医を受診し,上部消化管内視鏡検査および造影検査で胃軸捻と診断され,当科紹介となった.CT所見で横隔膜の裂孔(ヘルニア門)より胃体部が胸腔内に脱出し,ヘルニア門と食道裂孔との間には横隔膜組織の介在を認めた.以上より胃軸捻を伴う横隔膜傍裂孔ヘルニアと診断した.内視鏡的整復は困難であったため,腹腔鏡下に脱出した胃体部と肝外側区域を腹腔内へ還納後,ヘルニア門を縫合閉鎖した.術後,逆流性食道炎(ロサンゼルス分類D)を併発したが保存的治療で軽快した.術後20日目に退院し,術後6カ月の現在まで再発なく経過良好である.